チョコレートの味は、カカオの段階でほとんど決まっています。品種、育った土地、発酵のやり方。板チョコになってからできることは、実はそう多くありません。
このページは、当サイトでカカオの産地と品種について書いた記事の入口です。基礎から産地別の特徴、生産の現場までを順番に並べました。関心のある場所から読み始めてください。
カカオの産地という言葉は、いまでは板チョコの表面にも書かれています。その名前が何を意味しているのかを、記事をたどりながら確かめられるようにしています。
まずここから:カカオとチョコレートの関係
いちばん最初につまずきやすいのが、言葉の整理です。
カカオとチョコレートの違いでは、原料から製品になるまでを図で追いました。カカオが植物で、チョコレートが加工品だという関係がここで分かります。
続けて読むならカカオマス・ココアバター・ココアパウダーの違いとは?です。カカオ豆を挽くと何が取れるのか、その三つの名前が何を指すのかを扱っています。原材料表示を読めるようになるのはこの記事です。
工程の全体像はチョコレートができるまでにまとめました。収穫から板チョコまでを12の工程に分けています。
品種で味が変わる
カカオには品種があり、それが味の土台になります。
カカオ豆の品種の違いと特徴で、クリオロ、フォラステロ、トリニタリオの三つを整理しました。生産量の大半を占めるのはどれか、希少とされるのはどれかが分かります。
品種の話をさらに進めるならカカオの最高峰「アリバ種」とは?です。エクアドルの花のような香りが、どこから来ているのかを扱いました。
花から実になるまで
植物としてのカカオを見ておくと、価格の話が理解しやすくなります。
カカオの花は幹に咲くでは、花が枝先ではなく幹から直接咲くこと、年に6000咲いて実るのは20個ほどだという結実率の低さを扱いました。増産が簡単でない理由は、この段階にあります。
産地ごとの個性
同じ品種でも、土地が変わると味が変わります。産地別の記事はこちらです。
アジアではベトナム産カカオの特徴がフルーティーな酸味で知られ、インドのチョコレート事情とフィリピンのチョコレートはクラフトの動きが出てきた産地です。
アフリカではガーナ産カカオが日本人の味の原点として語られ、コートジボワールのカカオは世界最大の生産国として扱いました。
中南米は品種の故郷です。ペルーのカカオはクリオロ種の宝庫、ドミニカ共和国のカカオは有機栽培の産地、トリニダード・トバゴのカカオはトリニタリオ種が生まれた場所です。メキシコのチョコレートはカカオ利用そのものの発祥にさかのぼります。
インド洋ではマダガスカルのカカオを扱いました。酸味の出方が特徴的な産地です。
産地の違いを実際に食べ比べたい場合は明治 ザ・チョコレートとはが入口になります。産地別の商品が手に入りやすい形で並んでいます。
産地名が書かれるようになった背景
昔のチョコレートに、産地は書かれていませんでした。いまは板チョコの表面にガーナやエクアドルと印刷されています。
この変化の中心にあるのが、ひとつの産地の豆だけを使うという考え方です。詳しくは「シングルオリジン」とは?で扱いました。複数の産地を混ぜて味を安定させるやり方と、ひとつに絞って個性を出すやり方は、目的が違います。
あわせて広がったのが、豆の仕入れから板チョコまでを一貫して行う作り方です。この流れはBean to Barチョコレートとは?にまとめています。作り手が産地を選ぶようになったから、産地の名前が表に出てきたという順番です。
つまり産地表示は、味の説明であると同時に、誰がどこから買ったかという記録でもあります。生産の現場に関心が向くようになったのも、この流れと切り離せません。
カカオの産地を比べるときの注意
産地別の記事を読むときに、ひとつ気をつけておきたいことがあります。同じ国の豆でも、味は一定ではありません。
理由は三つあります。ひとつは品種で、同じ国に複数の品種が植わっていることは珍しくありません。もうひとつは農園ごとの管理の差です。そして最も大きいのが発酵と乾燥のやり方です。
収穫した豆は、果肉に包まれた状態で数日間発酵させます。ここで香りの元が作られるので、期間や温度の違いがそのまま味に出ます。工程の詳細はチョコレートができるまでで扱いました。
ですから「エクアドルは花のような香り」という説明は、傾向としては正しくても、手元の一枚に必ず当てはまるとは限りません。産地の記事は、味を決める地図ではなく、味を読み解くための手がかりとして使ってください。
生産の現場で起きていること
産地の話は、味の話だけでは終わりません。
カカオ農家の現状では、1枚のチョコレートの裏にある収入や労働の問題を扱いました。手間に対して取れる量が少ない作物であることが、その背景にあります。
取り組みの側は四つの記事で分けました。フェアトレードチョコレートとは?は児童労働の問題を含めた仕組み、サステナブルチョコレートとは?は環境面、エシカルチョコレートとは?は認証マークの読み方、ダイレクトトレードチョコレートとは?はフェアトレードとの違いを扱っています。
価格の動きを知りたい場合はチョコレート値上げの理由です。カカオ相場が上がると何が起きるのかを整理しました。
歴史をたどる
カカオがどう使われてきたかを知ると、いまの形が特殊であることが見えてきます。
チョコレートの歴史で4000年分をたどり、チョコレートは昔「薬」だった?では飲み物だった時代から食べ物になるまでを扱いました。固形のチョコレートは、歴史の中ではかなり新しいものです。
そのまま食べるという選択
加工しないカカオを試したい場合はカカオニブの食べ方15選です。焙煎して砕いただけの状態で、チョコレートになる前の味が分かります。
砂糖も乳も入っていないので、カカオそのものの苦みと酸味がそのまま出ます。産地の違いを比べるには、これがいちばん分かりやすい形かもしれません。
どこから読むか迷ったら
関心の方向で選べるように、三つの入り方を挙げておきます。
味を知りたい なら、品種[33]→ 産地(上の一覧)→ カカオニブ[956]の順です。
仕組みを知りたい なら、違い[289]→ 成分[22]→ 工程[34]が筋道になります。
背景を知りたい なら、農家の現状[2053]→ 認証の仕組み[1015]→ 価格[991]です。
どの入り方でも、最後には同じところへ行き着きます。チョコレートの味は、買う前のずっと手前で決まっているということです。
読む順番に迷ったときの目安
記事の数が多いので、時間がどれだけ取れるかで選び方を変えるのが現実的です。
10分だけなら、カカオとチョコレートの違いの1本で全体の見取り図が手に入ります。
30分あるなら、そこへ品種[33]と成分[22]を足してください。この3本で、原材料表示を読んで味を予想できるところまで届きます。
もっと知りたいなら、気になる産地を1つ選んで読み、同じ産地の板チョコを1枚買ってみるのが早道です。読んでから食べると、書かれていたことが確かめられます。
豆以外の部分の話
カカオの実のうち、チョコレートになるのは豆だけです。残りの部分がどこへ行くのかはカカオハスクとカカオパルプにまとめました。
豆の種皮は飼料や肥料、近年は雑貨の素材になり、果肉は発酵に使われるほかジュースとして商品になっています。発酵に必要な糖分は果肉から来ているため、パルプはチョコレートに入らないのに味を決めています。
産地が増えること、減ること
産地の顔ぶれは固定されていません。
ブラジルのカカオでは、1980年代に世界2位だった生産国が病害で7割の生産を失い、輸入国に転じた経緯を扱いました。インドネシアのカカオは、発酵という味を決める工程が省かれる理由を価格の仕組みから見ています。
逆に新しく産地になった土地もあります。台湾のチョコレートは2014年創業の作り手が、屏東県で育てた豆で国際的な賞を重ねた例です。
国内でのカカオ栽培
日本でもカカオは収穫されています。国産カカオで扱いました。
小笠原諸島の母島と沖縄が中心で、平塚製菓は2019年に母島産カカオを使った商品を限定発売しました。沖縄では2021年に60個、翌年に100個超の収穫。伊豆では温泉の熱を使った温室栽培の研究が約50年前から続いています。
価格がどこで決まるのかはカカオの先物取引にまとめました。産地ではなくロンドンとニューヨークの取引所が出発点になっています。
このページの使い方
新しい記事が増えたら、この一覧にも追加していきます。カカオという主題は産地の数だけ記事が増える性質があるので、入口をひとつにまとめておくほうが探しやすくなります。
気になった産地があれば、その国の記事から読み始めてください。産地の記事はどれも、その土地の条件がどう味に出るかという形で書いています。
