ガルボを食べたときの感触は、板チョコともビスケットとも違います。噛むと中まで詰まっていて、しかし固くはありません。

この独特さには理由があります。チョコレートを外から塗ったのではなく、生地に染み込ませているからです。

「染み込ませた」と公式が書いている

明治の発表資料には、ガルボシリーズの特徴がこう書かれています。

「サクサク食感の焼き菓子に、チョコレートをしっかり染み込ませた独特食感が人気の商品です。」

染み込ませるという言葉が使われています。覆うのではなく、内側まで入れている。これが他の菓子との違いです。

チョコレートを外から覆う構造についてはパイの実の64層やチョコリエールはなぜ長く売れているのかで扱いました。あちらは生地が器になって中身を守る形です。ガルボは逆で、生地そのものにチョコレートを行き渡らせています。

なぜ染み込むのか

染み込ませるには条件があります。生地に隙間が必要です。

焼き菓子は、焼くときに水分が蒸気になって抜けるため、内部に細かい空洞ができます。サクサクという感触は、この空洞があることの現れです。

そこへ溶けたチョコレートを触れさせれば、空洞に入り込みます。チョコレートは体温より低い温度で溶ける油脂が主体なので、流動性のある状態を作りやすい食品です。この性質はチョコレートが溶ける温度は何度?にまとめました。

空洞が多い生地ほど、よく染み込みます。サクサクであることと、染み込ませられることは同じ性質から来ています。

逆に言えば、詰まった生地には染み込みません。しっとりしたケーキのような生地では、入っていく隙間がありません。この菓子の形が小さく薄いのも、短い距離で中心まで届かせるためだと考えられます。大きな塊では、表面近くだけが染まって終わります。

表示は「チョコレート菓子」

パッケージ裏を見ると、種類別名称はチョコレート菓子と書かれています。

原材料名には、砂糖、カカオマス、植物油脂、全粉乳、乳糖、液卵、小麦粉、ココアパウダー、脱脂粉乳、ココアバターなどが並びます。

原材料から読めること 該当する材料
チョコレートの部分 カカオマス、ココアパウダー、ココアバター
焼き生地の部分 小麦粉、液卵、膨脹剤
乳の成分 全粉乳、脱脂粉乳、練乳パウダー

小麦粉と液卵、そして膨脹剤が入っていることから、内側に焼いた生地があることが分かります。表示の読み方は「チョコレート」と「準チョコレート」の違いにまとめました。

手に付きにくいという設計

もうひとつ、公式が挙げている特徴があります。「手に付きにくいコーティングを施しており」という記述です。

チョコレート菓子の弱点は、持つと指に移ることです。溶ける温度が体温より低いためです。

対策として多いのは、内側に入れてしまう方法です。チョコあ~んぱんでは、公式が「チョコレートを生地に入れているので、夏場でも手を汚さずに食べられます」と説明していました。

ガルボは逆の答えを出しています。表面にチョコレートがある状態で、付きにくいコーティングを加えた。染み込ませる構造を取ったぶん、外側も処理する必要が出たということになります。

チャック付きの袋という形

包装にも理由があります。公式は「チャック付きパウチ包装のため、いつでもどこでも手軽にお召し上がりいただけます」としています。

板チョコは一枚を開けたら食べきる形です。個包装の菓子は、ひとつずつ開ける手間があります。チャック付きの袋は、その中間にあたります。

数粒だけ食べて閉じる、という使い方ができます。手に付きにくいコーティングと組み合わせれば、袋から直接つまんで、残りは閉めておくという動作が成立します。

袋を閉められることは、保存の面でも効きます。チョコレートは湿気と匂いを吸いやすい食品で、開けたままでは生地の食感も変わります。包装が食感を守る役割も担っていることになります。

構造と包装が同じ方向を向いている例です。染み込ませた菓子を、手を汚さず、少しずつ食べる。

味の展開が広い

ガルボには多くの種類があります。ほろにがブラック、香りとコクのホワイト、つぶ練り苺、ガトーショコラ抹茶仕立て、まろやかモンブランなど、公式の商品一覧にはさまざまな味が並びます。

展開しやすいのは、染み込ませるチョコレートを替えればよいからです。生地の作り方は変えずに、染み込ませる側で味を決められます。

同じ構造の商品で味を増やす設計はパイの実の64層でも見られました。形の設計が決まっていれば、味は後から足せます。

染み込ませる菓子はほかにもある

生地に液体を含ませる作り方は、製菓では珍しくありません。

洋酒を染み込ませた焼き菓子、シロップを打ったスポンジ。いずれも焼いた生地の空洞を使って、別の味を入れる手法です。ガルボはそれをチョコレートでやっていることになります。

ただチョコレートには、ほかの液体と違う点があります。冷えると固まることです。洋酒やシロップは湿った状態のまま残りますが、チョコレートは生地の中で固まります。

結果として、染み込ませたのに湿っていないという状態が作れます。サクサクした感触が残るのは、このためだと考えられます。固まる仕組みそのものは「テンパリング」とは?で扱いました。

よくある質問

Q. ガルボはチョコレートですか、ビスケットですか。 パッケージ裏の種類別名称は「チョコレート菓子」です。ただし内側には小麦粉と卵を使った焼き生地があり、どちらの要素も持っています。

Q. 外側と内側でチョコレートは違うのですか。 公式には「焼き菓子にチョコレートをしっかり染み込ませた」とあり、別に「手に付きにくいコーティングを施して」いるとされています。染み込ませる工程と、外側を処理する工程の両方があることになります。

Q. 夏場に持ち歩いても大丈夫ですか。 手に付きにくいコーティングが施されているとはいえ、チョコレート菓子です。高温の場所では形が変わります。温度の性質はチョコレートが溶ける温度は何度?を参照してください。

Q. 開けたあとはどう保存すればよいですか。 チャック付きの袋であれば閉めておけます。チョコレートは匂いを吸いやすく、湿気で生地の食感も変わるため、閉めておくほうが確実です。保存の考え方はチョコレートの正しい保存方法にまとめました。

ビスケットとチョコの境界にある

この菓子をどう分類するかは、意外に難しいところです。

ビスケット菓子 チョコレート菓子 ガルボ
主な部分 焼き生地 チョコレート 両方が混ざっている
境目 はっきりある — 曖昧になっている
表示 焼菓子など チョコレート チョコレート菓子

境目をなくすという方向が、この商品の独自性です。多くの菓子は層や殻として境目を作りますが、ガルボは染み込ませることで境目を消しています。

カントリーマアムは逆に、チョコチップが溶けて生地に混ざらないよう工夫していました。粒として残すか、染み込ませて混ぜるか。同じ「生地とチョコ」の組み合わせで、正反対の答えが出ています。

断面を見ると分かる

まとめると、ガルボの正体はチョコレートが内側まで入った焼き菓子です。

公式の言葉を借りれば「サクサク食感の焼き菓子に、チョコレートをしっかり染み込ませた独特食感」。外から塗ったのではなく、生地の空洞に入れている。

次に食べるときは、割って断面を見てみてください。外側と内側で色が変わっていないはずです。それが染み込ませたという証拠になります。

明治のチョコレート商品の全体像は明治のチョコレート全種類一覧にまとめました。

参考文献

※商品のラインナップや原材料は変更されることがあります。最新の情報はメーカーの公式サイトでご確認ください。発売年は公式資料で確認できなかったため記載していません。