レシピに「板チョコ1枚」と書かれていることがあります。作り始めてから、これが何グラムを指すのか分からず手が止まった経験のある人は少なくないはずです。

商品によって重さは違います。ただ、定番と呼ばれるものにはおおよその基準があり、それを知っておくとレシピが読みやすくなります。数字で整理していきます。

定番の板チョコは50gが基準

まず、よく使われる商品の内容量を確認します。

明治ミルクチョコレートは50gです。公式の商品情報では、栄養成分が「1枚(50g)あたり」という単位で表示されています。つまりメーカー自身が、この商品の1枚を50gとして扱っていることになります。

ロッテのガーナミルクも50gです。こちらは栄養成分が「1箱(50g)当り」と書かれています。表現は違いますが、数字は同じです。

商品 内容量 栄養成分の表示単位
明治ミルクチョコレート 50g 1枚(50g)あたり
ロッテ ガーナミルク 50g 1箱(50g)当り

定番の一枚は、まず50gと考えてよい。これが出発点になります。

レシピの「1枚」をどう読むか

この前提に立つと、レシピの読み方が決まります。

「1枚」と書かれていれば50g、「2枚」なら100gとして計算します。チョコレートと生クリームの割合を指定するガナッシュのようなレシピでは、この換算がそのまま仕上がりの硬さに効いてきます。配合の考え方は「ガナッシュ」とは?生チョコとの違いを解説で扱いました。

ただし、すべてが50gではありません。カカオ分の高い商品や、輸入品、大きめのサイズでは重さが変わります。使う前にパッケージの内容量表示を一度確認してください。表示は必ず記載されています。

レシピが海外のものである場合はさらに注意が要ります。100g前後を1枚とする国もあり、そのまま読み替えると倍近くずれます。

「1枚」と「1個」は違う

重さを考えるとき、混乱しやすいのが枚数入りの商品です。

同じ明治ミルクチョコレートでも、箱に小さな板が何枚も入った形態があります。この場合の「1枚」は、レシピが想定しているものとは別物です。

たとえば45枚入りで225gという商品なら、1枚あたりは5gです。20枚入りで100gでも、同じく1枚5gになります。レシピの「1枚」が50gを指すのに対し、こうした商品の1枚は10分の1の重さです。

形態 内容量 1枚あたり
1枚もの 50g 50g
45枚入り 225g 5g
20枚入り 100g 5g

「1枚」という同じ言葉が、商品の形によって十倍違う量を指す。ここを取り違えると、分量が大きくずれます。

内容量は、見直されることがある

もう一点、知っておくと役に立つのが、内容量は固定ではないということです。

明治は2024年に、価格改定と内容量の変更を発表しています。関係するところでは、45枚入りの商品が225gから180gへ、20枚入りの商品が100gから80gへ変更されました。いずれも11月12日発売分からで、50gの商品については同年10月1日出荷分から価格の改定が行われています。

ここで注目したいのは、枚数は変わっていないという点です。45枚は45枚のまま、重さだけが225gから180gになりました。単純に割れば、1枚あたりが5gから4gになった計算です。

理由として説明されているのは、原材料価格が世界的な需要拡大などの影響で高止まりしていること、原油価格の高騰による物流コストや包装材価格の上昇、そしてエネルギーコストなどの諸経費の高止まりです。

昔のレシピをそのまま使うときは、この点に気をつけてください。「1袋」「1箱」といった単位で書かれたレシピは、当時と今で中身の量が違う可能性があります。

カカオの価格が上がっている背景についてはチョコレート値上げの理由で扱っています。

溝があるから、量を調整できる

板の形には、割るための溝が入っています。この溝は、見た目のためだけのものではありません。

溝に沿って割れば、ほぼ同じ大きさの欠片に分けられます。1枚が50gで、溝で均等に分かれているなら、半分は約25g、四分の一は約12.5gと見当がつきます。はかりがない場所でも、おおよその量を作れるわけです。

レシピが50gを求めていて、手元に1枚しかないなら全部使えばよい。25gなら半分に割る。量を測る道具の代わりに、形そのものが目盛りになっていると考えると分かりやすくなります。

溶かす手順はチョコレートの溶かし方を参考にしてください。割ってから溶かすほうが、熱が均一に伝わります。

50gという数字の便利さ

なぜ多くの商品が50g前後なのかを断定することはできませんが、この数字には使い勝手のよさがあります。

ひとつは、一人で食べきれる量だということです。半分残して包み直す必要がなく、開けたその日に食べ終えられます。栄養成分が1枚をひとまとまりとして表示されているのも、そういう食べ方が前提にあるからでしょう。

もうひとつは、計算しやすいことです。50gなら、2枚で100g、半分で25g、四分の一で12.5g。レシピの側も「1枚」と書くだけで済みます。もしこれが47gや53gといった半端な数字だったら、レシピは毎回グラム数を添える必要が出てきます。

キリのよい数字が選ばれていることで、作る側と食べる側の両方が楽をしているわけです。

ただし、この数字が最初から決まっていたわけでも、これからも変わらないわけでもありません。内容量は見直されることがあり、いまの50gもその時々の事情の上に成り立っています。正確に再現したいときほど、目の前のパッケージを確認するのが確実です。

製菓用は、重さの考え方が違う

お菓子作りに慣れてくると、製菓用のチョコレートを使う場面が出てきます。

クーベルチュールと呼ばれるものは、板の形ではなく、粒状やタブレット状で袋や箱に入っています。内容量も200g、500g、1kgといった単位が中心で、「1枚」という数え方をしません。必要な量をはかりで量って使うことが前提になっています。

違いは形だけではなく、配合や用途にも及びます。詳しくは「クーベルチュール」とは?普通の板チョコとの違いにまとめました。商品ごとの違いを知りたい場合は明治のチョコレート全種類一覧やチョコレートの種類完全ガイドも参考になります。

結局、量るのがいちばん確実

数字を並べてきましたが、実際の作業でもっとも確実なのははかりで量ることです。

50gを前提に計算していても、使う商品が45gや55gであれば、その差は仕上がりに出ます。とくにチョコレートと生クリームの比率が決まっているレシピでは、数グラムの差が固さを変えます。

買うときに内容量の表示を見る習慣をつけておくと、家に戻ってから慌てずに済みます。同じ棚に並んでいても、重さが揃っているとは限りません。

数字を知っていると、迷わない

まとめると、覚えておくべきことは多くありません。定番の一枚は50g。枚数入り商品の1枚とは別物。内容量は変わることがある。この三つです。

レシピの前で手が止まるのは、たいてい単位が曖昧なときです。板チョコの重さという小さな数字を一度押さえておけば、次からは迷わず先に進めます。

お菓子作りでつまずく原因は、技術よりも単位の取り違えにあることが少なくありません。グラムという共通の物差しに直してしまえば、レシピは急に読みやすくなります。手元の一枚が何グラムなのか、まずはそこから確かめてみてください。

参考文献

※内容量や価格は改定されることがあります。最新の情報は各メーカーの公式サイトでご確認ください。