「フェレロロシェ」や「ヌテラ」は好きだけど、イタリアのチョコレートって何が特別なの?
ベルギーやスイスのチョコレートは有名だけど、イタリアについては意外と知らない方が多いのではないでしょうか。
結論から言うと、イタリアチョコレートの最大の特徴は「ヘーゼルナッツとの黄金の組み合わせ」です。
特に、ヘーゼルナッツをチョコレートに練り込んだ「ジャンドゥーヤ」は、イタリアが世界に誇る独自のチョコレート文化。実は、ヌテラもジャンドゥーヤから生まれたのです。
この記事では、イタリアチョコレートの特徴から、ジャンドゥーヤの誕生秘話、人気ブランドの違い、そしてトリノ旅行で訪れるべき名店まで、まとめて解説します。
イタリアチョコレートの3つの特徴
イタリアチョコレートには、ベルギーやスイスとは異なる独自の特徴があります。

特徴1:ヘーゼルナッツとの黄金の組み合わせ
イタリアチョコレートを語る上で欠かせないのが、ピエモンテ産ヘーゼルナッツとの組み合わせです。
ピエモンテ州で採れる「トンダ・ジェンティーレ・デッレ・ランゲ」という品種は、世界最高品質のヘーゼルナッツとして知られています。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 形状 | 丸くて均一 |
| 脂肪分 | 高く、風味が豊か |
| 香り | 焙煎すると香ばしい香りが立つ |
| 用途 | ジャンドゥーヤ、ヌテラ、フェレロロシェなど |
この高品質なヘーゼルナッツがチョコレートと組み合わさることで、イタリア独自の「ジャンドゥーヤ」が生まれました。
特徴2:トリノ=「チョコレートの都」
イタリアのチョコレート文化の中心地は、北イタリアのトリノ(Torino)です。
トリノは16世紀からチョコレート文化が栄え、「チョコレートの都」と呼ばれています。
| 年代 | 出来事 |
|---|---|
| 1559年 | サヴォイア公国(トリノ)にカカオがスペイン経由で伝来 |
| 1678年 | トリノで初のチョコレート専門店が開業許可を取得 |
| 1826年 | カファレル社がトリノで創業 |
| 1852年 | カファレルがジャンドゥイオットを発明 |
| 1946年 | フェレロがヌテラの前身を開発 |
現在もトリノには100を超えるチョコレート専門店があり、毎年秋には「チョコラート(CioccolaTò)」というチョコレートの祭典が開催されています。
特徴3:職人文化「アルティジャナーレ」
イタリアには「アルティジャナーレ(Artigianale)」、つまり職人による手作り文化が根付いています。
アルティジャナーレの特徴:
- 小規模な工房で丁寧に作られる
- 伝統的な製法を何世代にもわたって守り続ける
- 地元の素材(ヘーゼルナッツ、ミルクなど)にこだわる
大量生産を得意とするベルギーや、品質管理を徹底するスイスとは異なり、イタリアは「職人の技」と「個性」を重視する傾向があります。
ジャンドゥーヤとは?ナポレオン時代に生まれた奇跡のチョコ
イタリアチョコレートを代表する「ジャンドゥーヤ」。その誕生には、意外な歴史的背景がありました。

ナポレオンの大陸封鎖令がきっかけ
1806年、フランス皇帝ナポレオンは「大陸封鎖令」を発令しました。
大陸封鎖令とは、イギリスを経済的に孤立させるため、ヨーロッパ大陸の国々がイギリスとの貿易を禁止するというもの。この影響で、イギリス経由で輸入されていたカカオの量が激減してしまいました。
当時、トリノのチョコレート職人たちは困り果てました。
カカオが手に入らなければ、チョコレートを作れない——。
ヘーゼルナッツを混ぜる発想
そこで職人たちは、カカオ不足を補うため、地元で豊富に採れるヘーゼルナッツをチョコレートに混ぜることを考えました。
ピエモンテ州はヘーゼルナッツの名産地。高品質なナッツならいくらでも手に入ります。
ローストしたヘーゼルナッツをペースト状にすりつぶし、チョコレートに練り込む——。
こうして誕生したのが「ジャンドゥーヤ(Gianduia)」です。
結果的に、カカオ不足という「ピンチ」が、イタリア独自のチョコレート文化を生むという「チャンス」に変わったのです。
ジャンドゥーヤの特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原材料 | チョコレート(カカオマス、砂糖)+ヘーゼルナッツペースト |
| ヘーゼルナッツ含有量 | 約25〜40% |
| 食感 | 滑らかでクリーミー |
| 味わい | ナッツの香ばしさとチョコの甘さが調和 |
| 口溶け | 非常になめらか(ナッツの油脂分による) |
ジャンドゥイオット:世界初の個包装チョコ
1852年、トリノのカファレル社が「ジャンドゥイオット(Gianduiotto)」を発明しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 形状 | 船底のような独特の形(ボートシェイプ) |
| 包装 | 金色のアルミホイルで個包装 |
| 名前の由来 | トリノのカーニバルの人気キャラクター「ジャンドゥーヤ」から |
ジャンドゥイオットは世界初の「個包装チョコレート」とも言われています。金色の包み紙で一粒ずつ包装されたスタイルは、当時としては画期的でした。
ジャンドゥーヤとプラリネの違い
ナッツを使ったチョコレートといえば、ベルギーの「プラリネ」も有名です。では、ジャンドゥーヤとプラリネの違いは何でしょうか?
| 項目 | ジャンドゥーヤ | プラリネ |
|---|---|---|
| 発祥 | イタリア・トリノ | ベルギー・ブリュッセル |
| 主なナッツ | ヘーゼルナッツ | アーモンド or ヘーゼルナッツ |
| 製法 | ペースト状にしてチョコに練り込む | キャラメリゼしたナッツをチョコでコーティング |
| 食感 | 滑らか、クリーミー | カリカリとした食感が残る場合あり |
| 形状 | 固形またはスプレッド | 一粒チョコのフィリング(詰め物) |
ひとことで言うと:
- ジャンドゥーヤは「練り込み系」
- プラリネは「詰め物系」
イタリア vs ベルギー vs スイス|チョコ大国の違い
「チョコレート大国」といえば、ベルギーやスイスが有名ですが、イタリアとの違いは何でしょうか?

3カ国の比較表
| 項目 | イタリア | ベルギー | スイス |
|---|---|---|---|
| 代表的な発明 | ジャンドゥーヤ | プラリネ | ミルクチョコ、コンチング |
| 特徴的な素材 | ヘーゼルナッツ | フィリング(詰め物) | ミルク |
| 強み | ナッツとの組み合わせ | 一粒チョコの芸術性 | 口どけの滑らかさ |
| 文化 | 職人技(アルティジャナーレ) | 王室御用達 | 品質への徹底 |
| チョコの中心地 | トリノ | ブリュッセル | チューリッヒ |
| 代表ブランド | フェレロ、ヴェンキ | ゴディバ、ノイハウス | リンツ、トブラローネ |
各国の特徴まとめ
イタリア:ヘーゼルナッツの「香ばしさ」を極めた国
イタリアチョコレートの強みは、ピエモンテ産ヘーゼルナッツとの組み合わせ。ジャンドゥーヤやヌテラなど、ナッツの風味を活かした製品が得意です。
ベルギー:プラリネの「一粒の芸術」を生んだ国
ベルギーは「ボンボンショコラ」や「プラリネ」など、一粒一粒が芸術品のようなチョコレートが特徴。ゴディバやノイハウスなど、王室御用達ブランドが多いのも特徴です。
スイス:ミルクチョコの「口溶け」を極めた国
スイスは1875年にミルクチョコレート、1879年にコンチング製法を発明。滑らかな口溶けと上品な味わいが特徴です。リンツやトブラローネが代表的です。
イタリアの人気チョコレートブランド
イタリアには魅力的なチョコレートブランドがたくさんあります。代表的なブランドをご紹介します。

フェレロ(Ferrero):世界3位のチョコレートメーカー
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創業 | 1946年 |
| 本拠地 | アルバ(ピエモンテ州) |
| 代表商品 | ヌテラ、フェレロロシェ、キンダーサプライズ |
| 特徴 | 世界第3位のチョコレートメーカー |
ヌテラ(Nutella)
1964年に発売されたヌテラは、ジャンドゥーヤをスプレッドにした製品です。年間3億6000万kg以上が生産され、世界で最も売れているスプレッドとなっています。
実は、ヌテラの前身「パスタ・ジャンドゥーヤ」は1946年に発売されました。当時はまだ戦後の物資不足の時代。カカオが高価だったため、ヘーゼルナッツを混ぜてコストを抑えたのが始まりです。
フェレロロシェ(Ferrero Rocher)
1982年発売の金色の包装が特徴的なチョコレート。ヘーゼルナッツ入りのクリームをウェハースで包み、さらにチョコレートとナッツでコーティングした多層構造が特徴です。
ヴェンキ(Venchi):量り売りの老舗
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創業 | 1878年 |
| 本拠地 | トリノ |
| 代表商品 | 量り売りチョコ、ジェラート |
| 特徴 | 店舗で好きなチョコを量り売りで購入できる |
ヴェンキは1878年にシルヴィアーノ・ヴェンキによって創業された老舗ブランド。店舗では壁一面にチョコレートが並び、好きなものを好きな量だけ量り売りで購入できます。
日本でも銀座や表参道などに店舗があり、ジェラートも人気です。
カファレル(Caffarel):ジャンドゥイオット発祥
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創業 | 1826年 |
| 本拠地 | トリノ |
| 代表商品 | ジャンドゥイオット |
| 特徴 | 1852年にジャンドゥイオットを発明 |
カファレルはジャンドゥイオットを発明したブランドとして有名です。伝統的な製法を守り続け、現在もトリノを代表するチョコレートメーカーとして人気があります。
日本ではバレンタインの時期に百貨店で購入できることが多いです。
グイド・ゴビーノ(Guido Gobino):トリノの高級ショコラティエ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創業 | 1964年 |
| 本拠地 | トリノ |
| 代表商品 | トゥリノット、ジャンドゥイオット |
| 特徴 | 繊細で洗練されたジャンドゥイオット |
グイド・ゴビーノは、トリノを代表する高級ショコラティエです。伝統的なジャンドゥイオットを現代的にアレンジした「トゥリノット」が人気商品。繊細で洗練された味わいは、チョコレート愛好家からも高く評価されています。
ペルジーナ(Perugina):バッチチョコレート
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創業 | 1907年 |
| 本拠地 | ペルージャ(ウンブリア州) |
| 代表商品 | バッチ(Baci) |
| 特徴 | 「キスチョコ」として知られる |
ペルジーナはトリノではなく、中部イタリアのペルージャで創業したブランド。代表商品の「バッチ(Baci)」は「キス」を意味し、ヘーゼルナッツ入りのチョコレートです。包み紙に愛のメッセージが書かれているのが特徴で、バレンタインのギフトとして人気があります。
トリノで訪れるべきチョコレートスポット
イタリア旅行でトリノを訪れるなら、ぜひ立ち寄りたいチョコレートスポットをご紹介します。

トリノの名店
| 店名 | 特徴 | おすすめ |
|---|---|---|
| グイド・ゴビーノ | 高級ショコラティエ | トゥリノット |
| ストラッタ(Stratta) | 1836年創業の老舗カフェ | ジャンドゥイオット |
| バラッティ&ミラノ(Baratti & Milano) | 1858年創業、美しいカフェ空間 | ホットチョコレート |
| カフェ・アル・ビチェリン | 1763年創業、ビチェリン発祥の店 | ビチェリン |
ビチェリン:トリノ名物ドリンク
トリノには「ビチェリン(Bicerin)」という伝統的なチョコレートドリンクがあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発祥 | 18世紀、トリノ |
| 構成 | エスプレッソ+ホットチョコレート+生クリームの3層 |
| 飲み方 | 混ぜずに3層のハーモニーを楽しむ |
| 名前の由来 | ピエモンテ語で「小さなグラス」 |
ビチェリンは透明なグラスに3層が美しく重なり、見た目も楽しめる飲み物です。最初はエスプレッソの苦味、次にチョコレートの甘さ、最後に生クリームのまろやかさ——3つの味が順番に楽しめます。
発祥の店「カフェ・アル・ビチェリン」は1763年創業で、現在も当時のレシピを守り続けています。
チョコレートの祭典「チョコラート」
毎年秋(通常11月)には、トリノで「チョコラート(CioccolaTò)」というチョコレートの祭典が開催されます。
- 街中にチョコレートの屋台が並ぶ
- 試食やワークショップが楽しめる
- 世界中のチョコレート愛好家が集まる
トリノ旅行のタイミングを合わせられれば、ぜひ訪れてみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. ヌテラとジャンドゥーヤは同じもの?
A. ヌテラはジャンドゥーヤを「スプレッド状」にした製品です。
ジャンドゥーヤは固形のチョコレートですが、ヌテラはそれをパンに塗れるペースト状にしたもの。原材料の組み合わせ(チョコレート+ヘーゼルナッツ)は同じですが、形態が異なります。
Q. 日本でイタリアチョコを買える場所は?
A. 百貨店のバレンタイン催事、輸入食品店、公式店舗などで購入できます。
- ヴェンキ: 銀座、表参道などに店舗あり
- カファレル: バレンタイン時期に百貨店で販売
- フェレロロシェ: スーパー、コンビニで購入可能
- 成城石井、カルディ: 輸入チョコレートコーナー
まとめ
この記事では、イタリアチョコレートの特徴を解説しました。
覚えておきたい3つのポイント
- イタリアチョコの特徴は「ヘーゼルナッツ」
- ピエモンテ産の世界最高品質ヘーゼルナッツとの組み合わせ
- ジャンドゥーヤはナポレオン時代に生まれた
- 大陸封鎖令によるカカオ不足から、ヘーゼルナッツを混ぜる発想が生まれた
- ヌテラもジャンドゥーヤから派生した製品
- トリノは「チョコレートの都」
- 16世紀からチョコレート文化が栄えた
- グイド・ゴビーノ、ヴェンキ、カファレルなど名店が集まる
イタリアチョコレートは、ベルギーやスイスとは一味違う「ヘーゼルナッツの香ばしさ」が魅力です。次にフェレロロシェやヌテラを食べる時、ナポレオン時代から続く歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
イタリア旅行の際は、ぜひトリノまで足を延ばして、本場のジャンドゥイオットを味わってみてください。
著者: 佐藤 真理子(チョコレートライター)
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