Bean to Barとは?カカオ豆から板チョコまでの一貫製造

Bean to Bar(ビーントゥバー)とは、その名の通り「Bean(カカオ豆)」から「Bar(板チョコレート)」までの全製造工程を、一つの工房やブランドが一貫して行うチョコレート製造スタイルです。

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クラフトチョコレート」とも呼ばれ、大量生産の工業製品とは一線を画す、職人の手による丁寧なチョコレートづくりを指します。

この概念を分かりやすく例えると:

  • ビール → クラフトビール
  • コーヒー → サードウェーブコーヒー(シングルオリジン)
  • チョコレート → Bean to Bar

いずれも「大量生産・均一品質」から「少量生産・個性重視」へのシフトという共通点があります。コーヒーの世界で「この豆はエチオピア産で、ベリーのような風味がある」と楽しむように、チョコレートでもカカオ豆の産地や品種による味の違いを楽しむ文化が広がっているのです。

従来のチョコレートとの違い|比較表で一目瞭然

Bean to Barと従来のチョコレートは、何が違うのでしょうか?主な違いを表で比較します。

項目従来のチョコレートBean to Bar
製造体制分業制(産地→加工業者→製菓メーカー)一貫製造(1社で全工程)
カカオ豆複数産地をブレンドシングルオリジン(単一産地)が多い
原材料カカオマスを購入、添加物ありカカオ豆から製造、最小限の原材料
味わい均一で安定した味産地・豆の個性がダイレクト
価格帯手頃(100〜300円程度)やや高め(1,000〜2,500円程度)

従来のチョコレートは、カカオ豆の一次加工(カカオマスの製造)を専門業者に委託し、製菓メーカーはそのカカオマスを原料として製品を作ります。一方、Bean to Barでは、カカオ豆の仕入れから最終製品まで、すべての工程を自社で管理します。

この違いにより、Bean to Barでは豆の個性を最大限に引き出した、オリジナリティのあるチョコレートが生まれるのです。

Bean to Barの歴史|1996年アメリカから日本へ

アメリカでの誕生(1990年代後半)

Bean to Barムーブメントの発祥は、1996年のアメリカです。サンフランシスコ近郊で「Scharffen Berger Chocolates(シャーフェン・バーガー・チョコレート)」がオープンし、これがBean to Barの先駆けとされています。

2000年代に入ると、クラフト志向の高まりとともに全米に作り手が広がり、ムーブメントとして定着していきました。

日本での広がり(2010年代〜)

日本では2010年頃からBean to Bar専門店が登場し始めます。

  • 2014年: Minimal(ミニマル)が創業。「ビーントゥバー」という言葉を前面に押し出し、日本での認知拡大に貢献
  • 2016年: サンフランシスコ発のダンデライオン・チョコレートが日本1号店を東京・蔵前にオープン

その後、大手メーカーの明治が「ザ・チョコレート」シリーズを発売。コンビニで200円台という手頃な価格でBean to Barの概念を取り入れた商品が買えるようになり、一般消費者への認知が一気に広がりました。

Bean to Barが流行した5つの理由

なぜBean to Barは世界中で支持されるようになったのでしょうか。その理由を5つ紹介します。

1. クラフト志向の高まり

大量生産・均一品質の製品に対して、「作り手の顔が見える」「ストーリーがある」製品を求める消費者が増えています。手仕事による丁寧なものづくりへの支持が、Bean to Bar人気を後押ししています。

2. サードウェーブコーヒーからの流れ

コーヒー業界で「シングルオリジン」が流行したのと同様の流れがチョコレートにも波及。「産地による味の違いを楽しむ」という概念が消費者に浸透しました。

3. カカオ豆本来の味わい

一貫製造により、カカオ豆の特徴に合わせた焙煎・加工が可能になります。従来のチョコレートよりも、カカオの風味をダイレクトに味わえるのが魅力です。

4. フェアトレード・サステナビリティ意識

Bean to Barブランドの多くは、カカオ農家から適正価格で豆を買い付ける「フェアトレード」を実践しています。生産者や生産地が明確で、環境に配慮した持続可能なチョコレート製造への関心の高まりも追い風となっています。

5. テロワールへの注目

ワインの世界で重視される「テロワール」(風土・土地の個性)の概念が、チョコレートにも適用されるようになりました。同じカカオでも、産地の気候・土壌・生産者の作り方によってフレーバーが大きく異なることが認知されています。

Bean to Barの製造工程|7つのステップ

Bean to Barチョコレートは、カカオ豆から完成まで約2週間をかけて作られます。その製造工程を7つのステップで見ていきましょう。

Step 1: カカオ豆の選別

輸入されたカカオ豆から異物を除去し、豆の香り・色・状態を確認します。品質の良い豆だけを選び抜く、最初の重要な工程です。

Step 2: 焙煎(ロースト)

カカオ豆を加熱し、香りを引き出します。生のカカオ豆に眠る香り成分を最大限に引き出すため、焙煎温度・時間は豆の個性に合わせて細かく調整されます。

Step 3: 粉砕・ウィノウィング

焙煎された豆を粗く粉砕し、カカオ豆の皮(ハスク)を胚乳部分(カカオニブ)から剥がします。風でハスクを吹き飛ばす工程を「ウィノウィング」と呼びます。

Step 4: 磨砕(グラインディング)

カカオニブを石のローラーで磨砕します。摩擦熱でカカオバターが溶け出し、ペースト状の「カカオマス」になります。

Step 5: コンチング(練り上げ)

カカオマスを長時間(数十時間〜数日)練り上げます。不要な揮発性化合物を除去し、水分を減らすことで、なめらかな風味と食感を作り上げます。

Step 6: テンパリング(調温)

チョコレートの温度調節をしながらかき混ぜ、カカオバターの結晶構造を整えます。これにより、ツヤがあり、パキッと割れる硬さを持つチョコレートになります。

Step 7: 成型・完成

型に流し入れて冷やし固め、完成です。カカオ豆から約2週間の工程を経て、一枚の板チョコレートが生まれます。

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産地別フレーバーガイド|シングルオリジンの味わい

Bean to Barの醍醐味は、シングルオリジン(単一産地)のカカオ豆による味の違いを楽しむことです。主な産地とその特徴的なフレーバーを紹介します。

産地主なフレーバー
マダガスカルラズベリー、シトラス系のフルーティーな酸味
ベトナムベリー系、ジューシーな味わい
エクアドル南国フルーツ、まろやか、花の香り
タンザニアスパイシー、ベリー風味
ペルー花、キャラメル、ミルククリーム、微かな酸味
コスタリカスモーキー、芳醇
ガーナクラシックなカカオ感、バランスが良い
インドネシア(ジャワ)スモーキー、燻したような香り

ワインと同様、カカオもテロワール(風土・土地の個性)が味に影響します。同じ国でも、異なる農園で採れた豆ではフレーバーが異なることもあります。

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日本で買えるBean to Barブランド5選

日本国内で購入できる、おすすめのBean to Barブランドを紹介します。

1. Minimal(ミニマル)

  • 創業: 2014年
  • 本店: 東京・富ヶ谷
  • 特徴: カカオと砂糖だけで製造。添加物・ミルクなし
  • 実績: 国際的品評会で7年連続73賞受賞(2022年末時点)

日本のBean to Barブームを牽引したパイオニア的ブランドです。

Minimal 公式サイト

2. Dandelion Chocolate(ダンデライオン・チョコレート)

  • 創業: サンフランシスコ発祥
  • 日本1号店: 2016年、東京・蔵前
  • 特徴: カカオ豆とオーガニックのきび砂糖のみで製造

ファクトリー併設のカフェでは、製造工程を見学しながらチョコレートを楽しめます。

Dandelion Chocolate 公式サイト

3. green bean to bar CHOCOLATE

  • 本店: 東京・中目黒
  • 特徴: 日本発のBean to Bar専門店として、日本のエッセンスを取り入れた表現

口どけと味わいにこだわったチョコレートが人気です。

green bean to bar CHOCOLATE 公式サイト

4. OKINAWA CACAO

  • 拠点: 沖縄
  • 特徴: シークワーサー、黒糖など沖縄の地域素材とカカオを組み合わせた独自の味わい

5. 明治 ザ・チョコレート

  • 特徴: コンビニで買える入門編
  • 価格: 200円台〜

大手メーカーながらBean to Barの概念を取り入れ、産地別のフレーバーを手頃な価格で楽しめます。初めてシングルオリジンを試すならここから。

明治 ザ・チョコレート 公式サイト

Bean to Barチョコレートの楽しみ方

せっかくのBean to Barチョコレート。最大限に味わうためのテイスティング方法を紹介します。

テイスティングの4ステップ

  1. 室温に戻す: 食べる20分前に冷蔵庫から出し、18〜20℃に戻す
  2. 香りを楽しむ: 鼻に近づけて、カカオの香りを確認
  3. 舌の上で溶かす: 小さく割って口に入れ、噛まずに舌の上で溶かす
  4. フレーバーの変化を感じる: 前半・中盤・終盤の味わいの変化を楽しむ

産地食べ比べのすすめ

同じブランドの異なる産地(例:マダガスカルとガーナ)を並べて食べ比べると、産地によるフレーバーの違いがよく分かります。テイスティングの間には水で口をリセットしましょう。

コーヒーとのペアリング

サードウェーブコーヒーとBean to Barチョコレートは相性抜群。同じ産地のコーヒーとチョコレートを合わせると、共通するフレーバーが引き立ち合います。

よくある質問(FAQ)

Q: Bean to Barチョコレートは高いですか?

A: 一般的なチョコレートより高価格帯(1枚1,000〜2,500円程度)ですが、手間をかけた一貫製造と高品質なカカオ豆を考えると納得の価格です。入門編として「明治 ザ・チョコレート」(200円台)から試すのもおすすめです。

Q: Tree to Bar、Farm to Barとの違いは?

A: Tree to Barはカカオ樹の栽培から、Farm to Barは農園の管理から手掛けるスタイルです。Bean to Barよりさらに上流工程から関わる製造方法といえます。

Q: Bean to Barチョコはどこで買えますか?

A: 専門店の直営店やオンラインショップで購入できます。「明治 ザ・チョコレート」ならコンビニやスーパーでも手に入ります。

Q: 一般的なチョコレートより健康的ですか?

A: Bean to Barは添加物が少なく、カカオ含有量が高い傾向にあります。ただし「健康食品」ではないため、適量を楽しむことが大切です。

まとめ

Bean to Bar(ビーントゥバー)とは、カカオ豆から板チョコまでを一貫製造するクラフトチョコレートのスタイルです。

  • 定義: Bean(カカオ豆)to Bar(板チョコ)の全工程を一社で製造
  • 魅力: 産地による味の違い(シングルオリジン)を楽しめる
  • 流行の理由: クラフト志向、サードウェーブコーヒーからの流れ、テロワールへの注目
  • 楽しみ方: 室温に戻し、舌の上で溶かし、フレーバーの変化を感じる

コーヒーでシングルオリジンを楽しむように、チョコレートでも産地の個性を味わう時代が来ています。まずは1枚、気になるBean to Barチョコレートを手に取って、新しいチョコレート体験を始めてみてはいかがでしょうか。

026 summary

この記事を書いた人

佐藤 真理子(チョコレートライター)

製菓業界での勤務経験を活かし、チョコレートの魅力を分かりやすく伝える記事を執筆。特に海外ブランドや最新トレンドに詳しく、年間200種類以上のチョコレートをテイスティング。

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