ボンボンショコラとは?ひと口サイズの「小さな芸術品」
まずは「ボンボンショコラ」とは何かを理解しましょう。
ボンボンショコラの定義
ボンボンショコラ(フランス語:Bonbon de chocolat)とは、ひと口サイズの、中に詰め物(フィリング)が入ったチョコレートの総称です。
「ボンボン」はフランス語でひと口サイズの砂糖菓子を意味します。そこから派生して、ひと口サイズのチョコレートを「ボンボンショコラ」と呼ぶようになりました。
面白いのは、国や地域によって呼び方が違うということ。
| 地域 | 呼び方 |
|---|---|
| フランス | ボンボンショコラ |
| ベルギー | プラリーヌ |
| スイス(ドイツ語圏) | プラリーネ |
| 日本 | ボンボンショコラ / プラリネ |
高級チョコレート店で「プラリネ」と聞いても、それはボンボンショコラのことだと覚えておきましょう。
1912年ベルギーで誕生した「一粒の芸術」
ボンボンショコラの歴史は、1912年のベルギーにさかのぼります。
ベルギー・ブリュッセルの老舗チョコレートブランド「ノイハウス」の3代目オーナー、ジャン・ノイハウスJr.がシェルチョコレート製法を開発しました。これは、チョコレートでシェル(殻)を作り、その中にフィリング(詰め物)を入れるという画期的な製法です。
この新しいチョコレートは「プラリーヌ」と名付けられ、大変な人気を博しました。
さらに1915年には、ノイハウスJr.の妻が「バロタンボックス」と呼ばれる専用の箱を考案。チョコレートの美しさを保ったまま届けるためのこの箱は、現在もベルギーチョコレートの伝統を象徴する存在として愛されています。
ボンボンショコラの中身(フィリング)の種類
ボンボンショコラの魅力の一つは、バリエーション豊かなフィリング(中身)です。主要なものを紹介します。

ガナッシュ
最も代表的なフィリングです。刻んだチョコレートに温めた生クリームを混ぜ合わせ、なめらかなクリーム状に仕上げたもの。バニラ、紅茶、コーヒー、洋酒などで風味付けされることも多く、口の中でとろけるような食感が特徴です。
プラリネ
砂糖を煮詰めてキャラメル状にした糖液を、ローストしたナッツ(アーモンドやヘーゼルナッツ)にかけ、細かくすり潰してペースト状にしたもの。ナッツの香ばしさとカラメルの甘さが調和した風味が楽しめます。
ジャンドゥーヤ
ヘーゼルナッツベースのプラリネとチョコレートを混ぜたもの。イタリア発祥で、なめらかでリッチな味わいが特徴です。
その他のフィリング
- マジパン:アーモンドと砂糖のペースト、しっとりした食感
- キャラメル:やわらかくとろける甘さ
- フルーツ:ピューレやゼリー(パート・ド・フリュイ)
- アルコール:ウイスキー、ラム酒、ブランデーなど大人の味わい
ボンボンショコラを食べる楽しみの一つは、このフィリングの違いを味わい比べることにあります。
【保存版】ボンボンショコラの正しい食べ方5ステップ
いよいよ本題、ボンボンショコラの正しい食べ方です。この5ステップを覚えれば、一粒の芸術を最大限に楽しめます。

Step 1: 室温に戻す(20℃・20分)
冷蔵庫から出してすぐ食べるのはNGです。
チョコレートは体温で溶けることで香りが広がります。冷たいままだと、せっかくの繊細な風味を感じることができません。
食べる20分〜1時間前に冷蔵庫から出し、18〜20℃の室温に戻してから食べましょう。「20℃で20分」と覚えておくと便利です。
Step 2: 目で楽しむ
ボンボンショコラは「食べる宝石」とも呼ばれます。まずは目で楽しみましょう。
- 形の美しさ
- チョコレートの艶
- 表面のデコレーション
ショコラティエ(チョコレート職人)が一粒一粒に込めた技術と美意識を感じ取ってください。
Step 3: 香りを楽しむ
次に、鼻に近づけて香りを確認します。
- カカオの香り
- フレーバー(紅茶、コーヒー、フルーツなど)
- ナッツの香ばしさ
この段階で、中身のフィリングを予想するのも楽しいですね。
Step 4: 半分かじって、舌で溶かす
ここが最も重要なポイントです。
一口で丸ごと食べてはいけません。
まず半分をかじり、断面を見て中身(フィリング)を確認しましょう。「なるほど、ガナッシュか」「プラリネだ」と、目で確認することで味わいが深まります。
口に入れたら、すぐに噛み砕かないでください。
舌の上でコロコロと転がし、体温でゆっくりと溶かします。舌を上顎に押し当てると、チョコレートの風味がより感じられます。
体温でチョコレートが溶けることで、カカオバターの中に含まれる香り成分が口の中に広がるのです。
Step 5: 余韻を楽しむ
飲み込んだ後も終わりではありません。
口の中に残る余韻(フィニッシュ)を楽しみましょう。
鼻から息をゆっくり吐いて→吸って→吐くと、喉から鼻に抜ける香りを感じることができます。この余韻こそが、高級チョコレートの真骨頂です。
フレーバーが変化する!味わいの3段階
ボンボンショコラの面白いところは、口の中で味が変化していくこと。この3段階の変化を意識すると、より深く楽しめます。
前半:舌に触れた瞬間
口に入れて舌に触れた瞬間の最初の印象です。甘さ、苦味、酸味など、第一印象を感じ取りましょう。
中盤:溶け出してから溶け終わるまで
チョコレートが溶け出し、香りが広がる段階です。カカオの風味、フレーバー、ナッツの香ばしさなど、最も豊かな味わいを感じられる時間帯。この段階をゆっくり楽しむことが大切です。
終盤:飲み込んだ後
飲み込んだ後の余韻(フィニッシュ)です。長く続く余韻ほど、上質なチョコレートの証。この余韻の違いを感じ取れるようになれば、あなたも立派なチョコレート通です。
複数種類を楽しむ「食べる順番」のルール
ボンボンショコラの詰め合わせをもらったとき、どれから食べるか迷いますよね。実は、食べる順番にもルールがあります。

甘いものから苦いものへ
基本ルールは「甘い(淡い)ものから → 苦い(濃い)ものへ」です。
具体的には:
- ホワイトチョコレート(最も甘い)
- ミルクチョコレート
- ダークチョコレート(最も苦い)
フレーバーで言えば:
- フルーティー系(ベリー、柑橘など)
- ナッツ系(プラリネ、ジャンドゥーヤなど)
- ビター系(高カカオ、エスプレッソなど)
この順番を守ることで、前のチョコレートの味に次の味が負けることなく、すべての種類を最大限に楽しめます。
口をリセットする方法
複数のチョコレートを食べ比べるときは、常温の水(ミネラルウォーター)を用意しておきましょう。
一つ食べ終わるごとに水を飲むことで、口の中をリセットできます。次のチョコレートの風味を純粋に感じ取ることができるようになります。
ちなみに、一度に楽しむ量は6種類までが目安。それ以上になると、味覚が疲れてしまい、違いがわかりにくくなります。
ボンボンショコラの保存方法
ボンボンショコラは鮮度が命。正しく保存して、最高の状態で楽しみましょう。
最適な保存環境
- 温度: 15〜20℃
- 湿度: 50%前後
- 直射日光を避ける
- 匂いの強いものから離す(チョコは匂いを吸収しやすい)
理想的には、購入したその日のうちに食べるのがベストです。
冷蔵庫に入れる場合
気温が20℃を超える夏場などは、冷蔵庫での保存が必要になります。その際のポイントは:
- 野菜室に入れる(冷えすぎず、湿度も適度)
- 密閉容器に入れる(匂い移り防止)
- 食べる20分前に室温に戻す
冷蔵庫から出してすぐ食べると、冷たくて香りが立たないだけでなく、チョコレートの表面に結露が発生して「シュガーブルーム」という白い粉が出ることもあります。
賞味期限の目安
ボンボンショコラの賞味期限は、フィリングの種類によって異なります。
- ガナッシュ入り: 3日〜2週間程度
- プラリネ入り: 2週間〜1ヶ月程度
- アルコール入り: 比較的長め
いずれにせよ、新鮮なうちに食べるのが一番。高級チョコレートは「保存食」ではなく「生鮮食品」だと考えましょう。
やってはいけない3つのNG
最後に、ボンボンショコラを楽しむ上でのNGポイントをまとめます。
NG①:冷たいまま食べる
冷蔵庫から出してすぐ食べると、チョコレートが冷たくて香りが立ちません。体温で溶けることで初めて広がる風味を逃してしまいます。
正解: 食べる20分前に室温に戻す
NG②:一口で丸ごと食べる
一口で食べてしまうと、断面を見る楽しみも、味の変化を感じる時間も失われます。
正解: 半分かじって、中身を確認してから味わう
NG③:すぐに噛み砕く
すぐにバリバリと噛み砕いてしまうと、舌の上でゆっくり溶かす楽しみが失われます。チョコレートは体温で溶けることで香りが広がる食べ物です。
正解: 舌の上でコロコロ転がし、ゆっくり溶かす
まとめ
ボンボンショコラの正しい食べ方について解説しました。最後にポイントをおさらいしましょう。
ボンボンショコラを120%楽しむコツ
- 定義を知る – ボンボンショコラは1912年ベルギー生まれの「一粒の芸術」
- 室温に戻す – 20℃で20分、冷蔵庫から出してすぐはNG
- 5ステップで味わう – 見る→嗅ぐ→半分かじる→舌で溶かす→余韻を楽しむ
- 3段階の変化を感じる – 前半・中盤・終盤で味が変化
- 順番を守る – 甘いものから苦いものへ、水でリセット
- 正しく保存 – 15〜20℃、冷蔵なら野菜室、密閉容器で
一粒に込められたショコラティエの技術と想い。それを最大限に引き出すのは、食べる側の「マナー」です。
次に高級チョコレートを手にしたとき、ぜひこの記事を思い出してください。きっと、今までとは違う深い味わいを感じられるはずです。

この記事を書いた人
佐藤 真理子(チョコレートライター)
チョコレートメディア「Choco-Pedia」編集部。カカオ豆からチョコレートが生まれるまでの物語を、わかりやすくお届けしています。
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