プラリネとは?実は「2つの意味」がある
「プラリネ」という言葉を聞いたとき、実は2つの異なる意味があることをご存知でしょうか。この「2つの意味」を理解することが、プラリネとトリュフの違いを正しく把握する第一歩です。

意味①:製菓原料としてのプラリネ
1つ目の意味は、製菓原料(材料)としてのプラリネです。
プラリネとは、焙煎したナッツ類(主にアーモンドやヘーゼルナッツ)に、加熱した砂糖を和えてカラメル化(カラメリゼ)したものを指します。多くの場合、これをさらに細かく砕いてペースト状に加工します。
製菓原料としてのプラリネの特徴は以下の通りです。
- 主な材料: アーモンド、ヘーゼルナッツなどのナッツ類+砂糖
- 製法: ナッツを焙煎し、加熱した砂糖でカラメリゼ → ペースト状に加工
- 食感: 香ばしさと歯ごたえが特徴
- 用途: チョコレートのフィリング(中身)、ケーキの材料など
このプラリネは、チョコレートの中に詰めるフィリング(詰め物)として使われることが多く、ナッツ特有の香ばしさとカラメルの甘さが調和した風味が楽しめます。
意味②:ベルギーでは「一口チョコ」のこと
2つ目の意味は、ベルギー式の「一口サイズのチョコレート」を指すプラリネです。
ベルギー、スイス、ドイツでは、チョコレートのシェル(殻)の中に様々なフィリングを詰めた一口サイズのチョコレートのことを「プラリネ」と呼びます。これはフランスでは「ボンボンショコラ」と呼ばれるものと同じです。
つまり、同じ「プラリネ」という言葉でも、「材料」を指す場合と「完成品のお菓子」を指す場合があるのです。日本ではどちらの意味でも使われるため、文脈によって判断する必要があります。
ポイント: 本記事では、特に断りがない限り「プラリネ」を「ベルギー式の一口チョコレート」として解説します。
トリュフとは?きのこに似たチョコレート
プラリネの2つの意味を理解したところで、次はトリュフについて見ていきましょう。
トリュフの定義
トリュフチョコレートとは、ガナッシュを丸めた球形の一口サイズのチョコレートです。
ガナッシュとは、チョコレートと生クリームを乳化させて作るなめらかなクリームのこと。このガナッシュを丸く成形し、ココアパウダーや粉糖、溶かしたチョコレートでコーティングしたものがトリュフです。
トリュフの特徴をまとめると以下の通りです。
- 形状: 球形(丸い)
- 中身: ガナッシュ(チョコレート+生クリーム)
- コーティング: ココアパウダー、粉糖、チョコレートなど
- 食感: 中はなめらかでとろける口どけ
名前の由来は高級きのこ
「トリュフ」という名前の由来をご存知でしょうか。
実は、トリュフチョコレートの名前は、世界三大珍味の一つである高級きのこ「トリュフ」に由来しています。特に黒トリュフは「黒いダイヤモンド」とも呼ばれる超高級食材です。
ガナッシュを丸めて作ったチョコレートが、その形や色、表面の凹凸が黒トリュフに似ていたことから、「トリュフ」と名付けられたと言われています。チョコレートの表面にココアパウダーをまぶした姿が、土の中から掘り出された黒トリュフに見えるというわけです。
【図解】プラリネとトリュフ、見た目の違い
プラリネとトリュフの最も分かりやすい違いは「見た目」です。ショーケースを見れば一目で見分けられるポイントをご紹介します。
形状の違い
最も分かりやすいのは形状の違いです。
| 比較項目 | プラリネ | トリュフ |
|---|---|---|
| 形状 | 様々(四角、貝殻、ハート、ドーム型など) | 球形(丸い) |
| 大きさ | 一口サイズ | 一口サイズ |
プラリネは、モールド(型)を使って様々な形に成形されます。貝殻型、ハート型、ドーム型、四角形など、ショコラティエの創造性が発揮される多彩な形状が特徴です。一方、トリュフは手で丸めて作る球形が基本。その不揃いな丸さも魅力の一つです。
表面・コーティングの違い
次に注目すべきは表面の質感とコーティングです。
| 比較項目 | プラリネ | トリュフ |
|---|---|---|
| 表面の質感 | つやつや(光沢あり) | マット(光沢なし)が多い |
| コーティング | 硬いチョコレートシェル | ココアパウダー、粉糖、薄いチョコなど |
プラリネの表面が美しく輝いているのは、テンパリングという職人技のおかげです。チョコレートの温度を細かく調整することで、結晶構造を整え、美しい光沢と良好な口どけを実現しています。
一方、トリュフはココアパウダーや粉糖をまぶしたマットな仕上がりが一般的。チョコレートでコーティングする場合でも、プラリネほどの厚みはありません。
デコレーションの違い
高級チョコレートでは、デコレーションにも大きな違いがあります。
| 比較項目 | プラリネ | トリュフ |
|---|---|---|
| デコレーション | ブランドロゴ刻印、ナッツ、ドライフルーツ、金箔など | シンプル |
| 見た目の印象 | 華やか、芸術的 | 素朴、親しみやすい |
プラリネの表面には、ブランドのロゴが刻印されていたり、ナッツやドライフルーツ、金箔などで精巧な装飾が施されていることが多いです。まさにショコラティエの技術とセンスの結晶と言えます。
トリュフはシンプルで飾らない見た目が特徴。その分、素材本来の味わいで勝負する、という印象があります。
【図解】プラリネとトリュフ、中身の違い
見た目の違いを理解したら、次は「中身」の違いを見ていきましょう。食べたときの味わいや食感に直結する重要なポイントです。

フィリング(中身)の違い
プラリネとトリュフの最大の違いは、中身のバリエーションにあります。
| 比較項目 | プラリネ | トリュフ |
|---|---|---|
| 中身の種類 | 非常に多様 | 基本的にガナッシュのみ |
| 代表的なフィリング | ガナッシュ、ナッツペースト、キャラメル、ジャンドゥーヤ、マジパン、パート・ド・フリュイなど | ガナッシュ(洋酒、スパイス等で風味付け) |
プラリネは「フィリングの百貨店」と言っても過言ではありません。ガナッシュはもちろん、以下のような多彩なフィリングが使われます。
- ガナッシュ: チョコレートと生クリームのなめらかなクリーム
- ナッツペースト(プラリネ): カラメリゼしたナッツのペースト、香ばしさが特徴
- ジャンドゥーヤ: イタリア発祥、ヘーゼルナッツとチョコのなめらかなペースト
- キャラメル: 甘くとろける濃厚な味わい
- マジパン: アーモンドペーストと砂糖の組み合わせ
- パート・ド・フリュイ: フルーツのゼリー
一方、トリュフは基本的にガナッシュ一筋。シンプルだからこそ、チョコレートと生クリームの品質、そして洋酒やスパイスなどの風味付けで差が出ます。
食感の違い
中身が異なれば、当然食感も大きく異なります。
| 比較項目 | プラリネ | トリュフ |
|---|---|---|
| 外側の食感 | パリッとしたシェル | 柔らか(ココア)or 薄いパリッ(チョココート) |
| 内側の食感 | フィリングによる(なめらか〜香ばしい) | なめらか(ガナッシュ) |
| 全体的な印象 | 複雑、構造的 | シンプル、とろける |
プラリネは、まず外側のチョコレートシェルがパリッと割れ、続いて中身のフィリングが口の中に広がるという二段階の食感が楽しめます。硬いシェルとなめらかなフィリングのコントラストが魅力です。
トリュフは、全体がなめらかにとろける一体感のある食感が特徴。ココアパウダーをまぶしたタイプは、口に入れた瞬間から柔らかく溶けていきます。チョコレートでコーティングしたタイプでも、シェルは薄いため「外パリ中トロ」の食感が楽しめます。
プラリネの歴史|17世紀フランス貴族が由来
プラリネの起源には、興味深い歴史があります。その名前の由来はなんと17世紀のフランス貴族にまで遡ります。
プラズラン公爵とプラリネの誕生
プラリネの名前の由来は、セザール・ド・ショワズール・デュ・プレシス=プラズラン公爵(César de Choiseul du Plessis-Praslin)というフランスの貴族です。
17世紀、プラズラン公爵に仕えていた料理人クレマン・ラサーニュが、この「プラリネ」の発明者とされています。きっかけは、なんと見習いコックのいたずらでした。
フランスの料理百科事典『ラルース・ガストロノミック』によると、見習いのコックが残り物のアーモンドとキャラメルを一緒にかじっているのを見たラサーニュは、それらを組み合わせた糖菓を思いつきます。この菓子は貴族たちの間で大変な好評を博し、主人であるプラズラン公爵の名から「プラリーヌ(Praline)」と名付けられました。
偶然の発見から生まれた美味しい発明という点では、ガナッシュの誕生エピソードにも通じるものがありますね。
1912年ベルギーでの革新
製菓原料としてのプラリネが誕生してから約200年後の1912年、ベルギーで大きな革新が起こります。
ベルギー・ブリュッセルの老舗チョコレートショップ「ノイハウス」の3代目オーナーであるジャン・ノイハウス2世が、画期的な製法を開発しました。それは、チョコレートでシェル(殻)を作り、その中にナッツペーストやクリームなどのフィリングを詰めるという製法です。
これが現代の「ベルギー式プラリネ」の原型となりました。以来、ベルギーは世界有数のチョコレート大国として、高品質なプラリネを生み出し続けています。
トリュフの歴史|1895年フランス生まれ
プラリネに比べると、トリュフの歴史は比較的新しいものです。
サヴォア地方で誕生
トリュフチョコレートは、1895年にフランス南東部のサヴォア地方で誕生したとされています。イタリアとの国境に近いこの地域のパティシエが、最初のトリュフを作ったと言われています。
プラリネ(製菓原料)が17世紀に誕生したことを考えると、トリュフは約200年以上後に生まれた比較的新しいチョコレート菓子ということになります。
なぜ「トリュフ」と名付けられたか
前述の通り、名前の由来は高級きのこの黒トリュフです。
ガナッシュを丸めて作ったチョコレートが、土の中から掘り出された黒トリュフの形や色、表面のゴツゴツした感じに似ていたことから、この名が付けられました。
実際の黒トリュフは、豚や犬を使って土の中から掘り出す超高級食材。その希少価値になぞらえて、トリュフチョコレートも特別なお菓子としての地位を確立していったのかもしれません。
ボンボンショコラとの関係を整理
ここまでプラリネとトリュフについて解説してきましたが、もう一つ理解しておきたいのが「ボンボンショコラ」との関係です。
ボンボンショコラとは
ボンボンショコラ(Bonbon de chocolat)とは、中に詰め物(フィリング、センター)が入った、一口サイズのチョコレートの総称です。フランス語で「Bonbon」は「お菓子」、「chocolat」は「チョコレート」を意味します。
日本では「ウイスキーボンボン」のイメージが強いかもしれませんが、実はウイスキーボンボンはボンボンショコラの一種に過ぎません。
プラリネとトリュフの位置づけ
では、プラリネとトリュフはボンボンショコラとどのような関係にあるのでしょうか。
答えはシンプルで、プラリネもトリュフも「ボンボンショコラ」という大きなカテゴリーに含まれる種類の一つです。
ボンボンショコラ(一口サイズのフィリング入りチョコレートの総称) ├── プラリネ(ベルギー式)= チョコシェル + 多様なフィリング ├── トリュフ = ガナッシュ + ココア/チョココーティング ├── ウイスキーボンボン = シェル + 洋酒 ├── パート・ド・フリュイ入り = シェル + フルーツゼリー └── その他(ヌガー入り、キャラメル入りなど)
つまり、「ボンボンショコラ」は上位概念であり、その下にプラリネやトリュフなどの種類があるという関係です。高級チョコレート店で「ボンボンショコラ」と言えば、これら全てを含むことになります。
呼び方の地域差
ここで注意したいのが、呼び方に地域差があるということ。
- フランス: ボンボンショコラ(Bonbon de chocolat)
- ベルギー・スイス・ドイツ: プラリネ(Praline)
- 日本: どちらも使われる
同じお菓子でも国によって呼び方が異なるため、海外でチョコレートを購入する際は注意が必要です。
【比較表】プラリネとトリュフの違い一覧
ここまでの内容を整理して、プラリネとトリュフの違いを一覧表にまとめました。

| 比較項目 | プラリネ(ベルギー式) | トリュフ |
|---|---|---|
| 分類 | ボンボンショコラの一種 | ボンボンショコラの一種 |
| 形状 | 様々(四角、貝殻、ハートなど) | 球形(丸い) |
| 表面 | つやつや(光沢あり) | マット(ココアパウダー等) |
| コーティング | 厚いチョコレートシェル | 薄いチョコまたはココア |
| 中身の種類 | 多様(ガナッシュ、ナッツペースト等) | 基本的にガナッシュのみ |
| 食感 | 外パリ、中なめらか〜香ばしい | 全体とろける |
| デコレーション | 華やか(ロゴ、装飾など) | シンプル |
| 発祥地 | ベルギー(1912年) | フランス・サヴォア地方(1895年) |
| 名前の由来 | プラズラン公爵 | 黒トリュフ(きのこ) |
| 製作難易度 | 高い(テンパリング、型抜き) | 比較的低い |
この表を参考にすれば、ショーケースを見ただけでプラリネとトリュフを見分けられるようになります。
プラリネとトリュフ、どちらを選ぶ?
最後に、実際にチョコレートを購入する際の選び方のポイントをご紹介します。
好み別の選び方
まずは味や食感の好みで選ぶ方法です。
プラリネがおすすめの方
- ナッツの香ばしさが好き
- 複雑な味わいを楽しみたい
- パリッとした食感が好き
- 見た目の美しさにこだわりたい
トリュフがおすすめの方
- なめらかな口どけが好き
- シンプルにチョコレートを味わいたい
- とろける食感が好き
- 素朴な見た目が好き
シーン別の選び方
次にシーンや用途で選ぶ方法です。
プラリネがおすすめのシーン
- ビジネスシーンでの贈り物(取引先、上司など)
- フォーマルなギフト(お祝い、お礼など)
- 特別な記念日のプレゼント
- 自分へのご褒美(見た目も楽しみたい時)
トリュフがおすすめのシーン
- カジュアルなプレゼント(友人、家族など)
- バレンタインの手作りチョコレート
- 日常のおやつ
- 自分へのご褒美(とろける食感を楽しみたい時)
手作りに挑戦するなら
手作りチョコレートに挑戦したい方には、まずトリュフから始めることをおすすめします。
トリュフは、ガナッシュを作って丸め、ココアパウダーをまぶすだけでできる比較的シンプルなレシピです。一方、プラリネはテンパリングや型抜きなど、高度な技術が必要になります。
まずはトリュフで手作りチョコレートの基本を習得し、慣れてきたらプラリネに挑戦する、というステップアップがおすすめです。
まとめ
プラリネとトリュフの違いについて、見た目・中身・歴史の観点から詳しく解説しました。最後にポイントをおさらいしましょう。

プラリネとトリュフの違い まとめ
- プラリネには2つの意味がある
- 製菓原料: カラメリゼしたナッツのペースト
- ベルギー式: チョコシェルにフィリングを詰めた一口チョコ
- トリュフは「ガナッシュを丸めた球形チョコ」
- 名前の由来は高級きのこの黒トリュフ
- 1895年フランス・サヴォア地方で誕生
- 見た目の違い
- プラリネ: 様々な形、つやつや、華やかなデコレーション
- トリュフ: 球形、マットな表面、シンプル
- 中身の違い
- プラリネ: 多様なフィリング(ガナッシュ、ナッツペースト等)
- トリュフ: 基本的にガナッシュのみ
- どちらも「ボンボンショコラ」の一種
- ボンボンショコラは一口サイズのフィリング入りチョコの総称
これからデパートのチョコレート売り場に行ったとき、「プラリネとトリュフ、どちらにしますか?」と聞かれても、自信を持って答えられるはずです。あなたの好みやシーンに合わせて、ぴったりのチョコレートを選んでくださいね。
この記事を書いた人
佐藤 真理子(チョコレートライター)
チョコレートメディア「Choco-Pedia」編集部。カカオ豆からチョコレートが生まれるまでの物語を、わかりやすくお届けしています。
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