「ベルギーチョコとフランスチョコ、どう違うの?」
デパートのチョコレート売り場でよく見かけるベルギー産とフランス産のチョコレート。どちらも高級で美味しそうですが、「具体的に何が違うの?」と聞かれると、答えに困る人も多いのではないでしょうか。
実は、この2つの国のチョコレートには、製法・味わい・品質基準に明確な違いがあります。
この記事では、ベルギーチョコとフランスチョコの違いを徹底比較。王室御用達ブランドからM.O.F.(国家最優秀職人章)取得ショコラティエまで、あなたの好みに合うのはどちらか、選べるようになりますよ。
【結論】ベルギーとフランスのチョコ、何が違う?
まずは結論から。ベルギーチョコとフランスチョコの違いを、一覧表でまとめました。
| 項目 | ベルギー | フランス |
|---|---|---|
| 製法 | モールド(型)製法 | ガナッシュ中心 |
| コーティング | 厚め | 薄め |
| 味わい | 濃厚、しっかり | 繊細、口溶け |
| 代表的な種類 | プラリネ | ガナッシュ |
| 品質の証 | 王室御用達(8社) | M.O.F.(国家最優秀職人章) |
| こんな人に | 食べ応え重視派 | 繊細な味わい重視派 |
一言でいえば、ベルギー=濃厚でしっかり、フランス=繊細で口溶け。
どちらが「上」ということではなく、好みの問題です。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
製法の違い:ベルギー式 vs フランス式

ベルギー式「モールド製法」
ベルギーのボンボンショコラは、モールド(流し型)製法で作られます。
作り方の流れ:
- モールド(型)にチョコレートを流し込む
- 固まったら、中にセンター(詰め物)を入れる
- 底を再度チョコレートで封じる
この製法の特徴は、外側のチョコレートが厚いこと。口に入れたとき、まずしっかりとしたチョコの層を感じ、その後に中の詰め物の味が広がります。
食感: カリッ→とろっ の2段階の楽しみ
フランス式「ガナッシュ中心」
一方、フランス式のボンボンショコラは、ガナッシュが主役。
作り方の流れ:
- 繊細なガナッシュを作る
- 薄いチョコレートでコーティング
フランス式は、外側のチョコレートが薄く、パリッとした食感が特徴。コーティングを噛んだ瞬間、中のガナッシュの風味がダイレクトに広がります。
食感: パリッ→ふわっ の一体感
ベルギー式が「しっかり・濃厚」なら、フランス式は「繊細・口溶け」。この違いが、両国のチョコレートの個性を決定づけています。
プラリネ vs ガナッシュ:発祥の歴史

プラリネ(1912年・ベルギー発祥)
プラリネは、ベルギーチョコを語る上で欠かせない存在です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発明者 | ジャン・ノイハウスJr. |
| 発明年 | 1912年 |
| 定義 | ナッツ類をペースト状にしたクリーミーな詰め物 |
| 特徴 | ヘーゼルナッツやアーモンドの香ばしさ |
1912年、ブリュッセルのチョコレート店「ノイハウス」の2代目、ジャン・ノイハウスJr.が、ナッツのペーストをチョコレートで包むボンボンショコラを世界で初めて発明しました。
これがきっかけとなり、ベルギーチョコレート=プラリネというイメージが世界中に広まったのです。
ちなみに、チョコレートを入れる専用ボックス「バロタン」も、1915年にノイハウスが発明しています。
ガナッシュ(フランス発祥)
ガナッシュは、チョコレートと生クリームを合わせた、なめらかなクリームです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発明者 | パリの菓子屋ポール・シロダン(諸説あり) |
| 定義 | チョコレートと生クリームを乳化させたクリーム |
| 特徴 | 口溶けの良さ、複雑で深みのある味わい |
ガナッシュの発明には諸説ありますが、フランスのショコラティエ文化において、なくてはならない存在です。ガナッシュの技術は、フランスからベルギー、そしてヨーロッパ全体に広まりました。
プラリネ=ナッツの香ばしさ、ガナッシュ=クリームの滑らかさ。この違いを知っておくと、チョコレート選びがもっと楽しくなりますよ。
品質基準の違い
ベルギー:カカオバター100%純粋主義
ベルギーチョコレートが高品質と言われる理由の一つが、カカオバター100%純粋主義です。
1973年、EUでチョコレートの定義について大論争が起きました。
- 自由派(イギリスなど): カカオに植物油脂を混ぜてもチョコレートである
- 純粋派(ベルギーなど): カカオ100%でなければチョコレートではない
結果は自由派の勝利。しかし、ベルギーでは今なお、カカオバター100%以外はチョコレートと認めていません。
植物性油脂を一切使わないことで、口溶けの良さとカカオ本来の風味を実現しているのです。
ベルギーチョコを食べたとき「なんか違う」と感じるのは、この品質基準の違いが理由かもしれません。
フランス:M.O.F.(国家最優秀職人章)

フランスのチョコレート文化を象徴するのが、M.O.F.(Meilleur Ouvrier de France)です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 国家最優秀職人章 |
| 授与者 | フランス大統領 |
| ショコラティエ部門 | 1990年に新設 |
| 選考方式 | 3年に1度のコンクール |
| 特権 | トリコロール(青・白・赤)の襟の調理服を着る権利 |
M.O.F.は、フランス文化の最も優れた継承者に授与される最高栄誉。ショコラティエ部門の取得者は、まさに「チョコレートの芸術家」と言えます。
ベルギーが「品質基準」で差別化するなら、フランスは「職人の技術」で差別化しているのです。
ベルギー王室御用達ブランド8社
ベルギーには、王室御用達の称号を持つチョコレートブランドが8社あります。

| ブランド | 創業 | 特徴 |
|---|---|---|
| ゴディバ(Godiva) | 1926年 | 世界的知名度No.1、日本でもおなじみ |
| ノイハウス(Neuhaus) | 1857年 | プラリネの発明者、ベルギーチョコの原点 |
| ヴィタメール(Wittamer) | 1910年 | ケーキも有名、日本に店舗あり |
| ピエールマルコリーニ | 1995年 | Bean to Barの先駆者 |
| レオニダス(Leonidas) | 1913年 | コスパ最強、量り売りで有名 |
| ガレー(Galler) | 1976年 | カラフルなミニバーが人気 |
| ヴァンデンダー | 1989年 | 手作りにこだわる職人気質 |
| マダムドリュック | 1919年 | ベルギー最古参、トリュフが有名 |
迷ったらまず「ノイハウス」がおすすめ。プラリネの発明者として、ベルギーチョコの王道を体験できます。
フランスM.O.F.取得ショコラティエ
フランスには、M.O.F.(国家最優秀職人章)を取得したショコラティエが多数います。代表的な方々を紹介します。
ジャン=ポール・エヴァン(1986年取得)
日本で「ショコラティエ」という存在を広めた立役者。パリ6区に本店を構え、日本にも複数店舗を展開しています。
「チョコレートはカカオから生まれる芸術品」という哲学を持ち、ガナッシュの繊細さに定評があります。
パトリック・ロジェ(2000年取得)
「味の彫刻家」「プラリネの魔術師」と称される天才ショコラティエ。30歳の若さでM.O.F.を取得しました。
巨大なチョコレート彫刻でも有名で、芸術性と味の両方を追求しています。
フランク・ケストナー(2003年取得)
史上最年少でショコラティエ部門のM.O.F.を取得。ロレーヌ地方のミラベル(すもも)を使った「ペルル ド ロレーヌ」が看板商品です。
イヴァン・シュヴァリエ(2019年取得)
28歳という若さでM.O.F.を取得した新世代の星。ブルターニュ産の素材を積極的に使い、蕎麦粉のタブレットチョコ「サラザン・デュルセイ」が話題です。
【好み別】あなたに合うのはどっち?
結局、ベルギーとフランス、どちらを選べばいいのか。好み別のおすすめをまとめました。

| あなたの好み | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| しっかり食べ応えが欲しい | ベルギーチョコ | 厚めのコーティングで満足感◎ |
| ナッツ系が好き | ベルギー(プラリネ) | プラリネ発祥の地 |
| 繊細な味わいを楽しみたい | フランスチョコ | ガナッシュの芸術性 |
| 口溶け重視 | フランス(ガナッシュ) | 薄いコーティングでとろける |
| ギフトで失敗したくない | ベルギー王室御用達 | 知名度・安心感◎ |
| 通好みを贈りたい | フランスM.O.F.取得者 | 「知る人ぞ知る」感 |
| コスパ重視 | レオニダス(ベルギー) | 量り売りでお得 |
| 見た目の芸術性 | パトリック・ロジェ(フランス) | 彫刻のような美しさ |
初心者におすすめ:
- ベルギーならノイハウス(プラリネの王道)
- フランスならジャン=ポール・エヴァン(日本で買いやすい)
まとめ
ベルギーチョコとフランスチョコの違いを、もう一度おさらいしましょう。
ベルギーチョコの特徴:
- 製法: モールド(型)製法、厚めのコーティング
- 味わい: 濃厚、しっかり、ナッツ系
- 代表: プラリネ
- 品質の証: 王室御用達(8社)
- こんな人に: 食べ応え重視、ギフトの王道
フランスチョコの特徴:
- 製法: ガナッシュ中心、薄いコーティング
- 味わい: 繊細、口溶け、クリーミー
- 代表: ガナッシュ
- 品質の証: M.O.F.(国家最優秀職人章)
- こんな人に: 繊細な味わい派、通好み
大切なのは、「どちらが上」ではなく「どちらが自分の好みか」ということ。
この違いを知っておけば、デパートのチョコレート売り場でも迷わず選べるようになります。バレンタインの自分チョコ、大切な人へのギフト…ぜひ、両方の魅力を味わってみてください。
著者: 佐藤 真理子(チョコレートライター)
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