「フランスのチョコレートって、ベルギーと何が違うの?」
チョコレート好きなら、一度は抱く疑問ではないでしょうか。
結論から言うと、フランスチョコレートの最大の特徴は「薄いシェル」と「ショコラティエの芸術性」です。そして、フランスにはMOF(国家最優秀職人章)という、政府が認定する最高峰の職人資格があります。
この記事では、フランスチョコレートの4つの特徴、ベルギーチョコとの違い、そして日本で買える人気ショコラティエまで、フランスチョコの魅力を余すところなくお伝えします。
フランスチョコレートの4つの特徴
フランスチョコレートが世界中のチョコレート通から愛される理由は、主に4つの特徴にあります。

特徴1:薄いシェル(エンローバー製法)
フランスチョコレートを語る上で外せないのが「薄いシェル」です。
フランス式のボンボンショコラは、エンローバー製法と呼ばれる技法で作られます。これは、ガナッシュなどのフィリングをチョコレートの薄い膜でコーティングする方法です。
エンローバー製法の特徴:
- 外側のチョコレートが非常に薄い
- フィリングの風味がダイレクトに伝わる
- 長方形、正方形、菱形などシンプルな形状が主流
- 職人の手仕事による繊細な仕上がり
ベルギー式の「シェル製法」(型にチョコを流し込んで厚い殻を作る)とは対照的に、フランス式はフィリングの個性を最大限に引き出すことを重視しています。
特徴2:ダークチョコレート(ショコラ・ノワール)へのこだわり
フランスではカカオ成分の高いダークチョコレートが主流です。
フランス人にとって「ブラックこそチョコの王道」という考え方は根強く、ミルクチョコレートよりもビター系を好む傾向があります。
ダークチョコレートが愛される理由:
- カカオ本来の風味を最大限に楽しめる
- 甘さ控えめで上品な味わい
- ワインやチーズと同様に「大人の嗜好品」として位置づけ
フランスのショコラティエは、カカオ豆の産地や品種にこだわり、その個性を引き出すことに情熱を注いでいます。
特徴3:ショコラティエ個人名がブランドになる文化
ベルギーでは「ゴディバ」「ノイハウス」など企業ブランドが主流ですが、フランスではショコラティエ(チョコレート職人)個人の名前がそのままブランドになります。
代表的なフランスのショコラティエ:
- パトリック・ロジェ(Patrick Roger)
- ジャック・ジュナン(Jacques Genin)
- ジャン=ポール・エヴァン(Jean-Paul Hévin)
- アラン・デュカス(Alain Ducasse)
これは、フランスでは職人の芸術的個性が重視されていることの表れです。まるで画家や彫刻家のように、ショコラティエは自分の名前で作品を発表し、その独自のスタイルで評価されます。
特徴4:MOF(国家最優秀職人章)という国家認定
フランスにはMOF(Meilleur Ouvrier de France)という、政府が認定する最高峰の職人資格があります。
これは日本の「人間国宝」のようなもので、ショコラティエ部門で認定された職人はフランス最高の技術を持つ証として、トリコロール(青・白・赤)の襟章を着用する権利を得ます。
「MOF」とは?フランス最高峰の職人資格
フランスチョコレートを語る上で欠かせない「MOF」について、詳しく見ていきましょう。

MOFの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | Meilleur Ouvrier de France(フランス最優秀職人賞) |
| 日本語訳 | 国家最優秀職人章 |
| 認定機関 | フランス政府(教育省) |
| 開催頻度 | 3〜4年ごと |
| 対象分野 | 約230種類の職種(ショコラティエ、パティシエ、料理人など) |
| 受賞の証 | トリコロール(青・白・赤)の襟章を着用する権利 |
なぜMOFは特別なのか?
MOFの取得は極めて困難です。
コンクールは数年に一度しか開催されず、予選から本選まで数カ月にわたる厳しい実技試験が行われます。ショコラティエ部門では、指定されたテーマに沿って、決められた時間内に最高品質の作品を仕上げなければなりません。
合格率は非常に低く、一生に一度も取得できない職人も多いと言われています。
トリコロールの襟章の意味
MOFを取得した職人には、フランス国旗の色(青・白・赤)のトリコロールの襟章を着用する権利が与えられます。
この襟章は、料理人やパティシエ、ショコラティエのユニフォームの襟元に縫い付けられ、フランス最高の技術を持つ証として一目で分かるようになっています。
著名なMOFショコラティエ
| ショコラティエ | 取得年 | 特徴 |
|---|---|---|
| パトリック・ロジェ | 2000年 | 彫刻のような芸術的作品で知られる |
| フランク・ケストナー | 2004年 | アルザス地方を拠点とする |
| フィリップ・ベル | 2015年 | 革新的な技法で注目 |
| ニコラ・クロワゾー | 2007年 | ラ・メゾン・デュ・ショコラのシェフ |
専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: パリでショコラティエを訪れる際は、店員のユニフォームの襟元をチェックしてみてください。
トリコロールの襟章があれば、そのお店にはMOFショコラティエがいる証拠です。私がパリのアトリエを訪問した時、MOFの職人が丁寧にチョコレート作りを見せてくれました。「フランス最高峰」の称号の重みを感じた瞬間でした。
フランス vs ベルギー|チョコレートの違いを徹底比較
「チョコレートといえばフランス?それともベルギー?」
どちらも世界的なチョコレート大国ですが、その特徴は大きく異なります。両国の違いを比較表で整理してみましょう。

| 項目 | フランス | ベルギー |
|---|---|---|
| 製法 | エンローバー製法(薄いコーティング) | シェル製法(型に流し込む、厚いシェル) |
| 形状 | シンプル(正方形、菱形など) | 複雑(貝殻型、ハート型など) |
| 味の傾向 | ダーク志向、カカオ重視 | 多彩なフレーバー、甘め |
| ブランド形態 | ショコラティエ個人名 | 企業ブランド |
| 代表的発明 | エンローバー製法、ガナッシュ | プラリネ(1912年) |
| 国家認定 | MOF(国家最優秀職人章) | 王室御用達 |
| チョコレート祭典 | サロン・デュ・ショコラ(1995年〜) | ベルギーチョコレートフェア |
| 消費量 | 3.6kg/人/年(14位) | 6.8kg/人/年(8位) |
一言でまとめると
- ベルギー = 「プラリネ」の工業的品質を追求した国
- フランス = 「ショコラティエ」の芸術的個性を追求した国
どちらが優れているということではなく、それぞれに異なる魅力があります。
厚いシェルで多彩なフレーバーを楽しみたいならベルギー。薄いシェルで職人の個性を味わいたいならフランス、という選び方がおすすめです。
日本で買えるフランスの人気ショコラティエ8選
フランスのショコラティエの中から、日本で購入できるブランドをご紹介します。それぞれの特徴と、どんな人におすすめかを解説します。
1. ラ・メゾン・デュ・ショコラ(La Maison du Chocolat)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創業年 | 1977年 |
| 創業者 | ロベール・ランクス |
| 特徴 | 「ガナッシュの魔術師」と称される。繊細で上品な味わい |
| おすすめの人 | 正統派フランスショコラを味わいたい人 |
フランスを代表する老舗ショコラトリー。ガナッシュの滑らかさと香りの複雑さは、まさにフランスチョコの真骨頂です。
2. ジャン=ポール・エヴァン(Jean-Paul Hévin)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創業年 | 1988年 |
| MOF取得 | なし(ただしMOFパティシエの称号を持つ) |
| 特徴 | チーズとチョコレートの組み合わせなど革新的 |
| おすすめの人 | 新しい味の組み合わせを楽しみたい人 |
パリを代表するショコラティエの一人。「フロマージュ・ショコラ」(チーズ×チョコ)など、独創的な作品で知られます。
3. パトリック・ロジェ(Patrick Roger)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創業年 | 1997年 |
| MOF取得 | 2000年 |
| 特徴 | チョコレート彫刻家。芸術性の高い作品 |
| おすすめの人 | アート好き、話題性のあるギフトを探している人 |
MOFショコラティエであり、チョコレート彫刻家としても有名。店舗には巨大なチョコレート彫刻が展示されています。
4. ピエール・マルコリーニ(Pierre Marcolini)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創業年 | 1995年 |
| 国籍 | ベルギー出身(パリにも店舗) |
| 特徴 | Bean to Bar の先駆け。カカオの個性を追求 |
| おすすめの人 | カカオの風味にこだわりたい人 |
ベルギー出身ですが、フランス的な職人精神でBean to Barを追求。カカオ豆から一貫製造するスタイルで知られます。
5. ピエール・エルメ(Pierre Hermé)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創業年 | 1998年 |
| 特徴 | 「パティスリー界のピカソ」。マカロンも有名 |
| おすすめの人 | スイーツ全般が好きな人 |
マカロンで有名ですが、ボンボンショコラも絶品。独創的なフレーバーの組み合わせが特徴です。
6. アラン・デュカス(Le Chocolat Alain Ducasse)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創業年 | 2013年 |
| 特徴 | 三ツ星シェフが手がけるチョコレート |
| おすすめの人 | 料理との相性を考えたい人 |
フランス料理界の巨匠アラン・デュカスが、パリの自社工房で作るチョコレート。料理人ならではの味覚で構成されています。
7. フランク・ケストナー(Franck Kestener)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創業年 | 2000年代 |
| MOF取得 | 2004年 |
| 特徴 | アルザス地方の伝統とモダンの融合 |
| おすすめの人 | 地方の伝統菓子も好きな人 |
アルザス地方を拠点とするMOFショコラティエ。地元の素材を活かした作品が特徴です。
8. ジャック・ジュナン(Jacques Genin)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創業年 | 2008年 |
| 特徴 | キャラメルの名手。シンプルを極めた味わい |
| おすすめの人 | 素材の味を楽しみたい人 |
「キャラメルの魔術師」の異名を持つショコラティエ。派手さはないものの、素材の味を最大限に引き出す技術は圧巻です。
専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 初めてフランスチョコを選ぶなら、まずはラ・メゾン・デュ・ショコラから始めるのがおすすめです。
正統派のフランスショコラを体験できます。慣れてきたら、ジャン=ポール・エヴァンの革新的な作品や、パトリック・ロジェの芸術的な世界にも挑戦してみてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. フランスチョコとスイスチョコの違いは?
スイスチョコはミルクチョコレートと口溶けが特徴です。1875年にミルクチョコレートを発明し、「コンチング」という滑らかさを生む製法を確立しました。一方、フランスチョコはダークチョコレートと職人の芸術性が特徴。ミルク感よりカカオの風味を重視します。
Q2. サロン・デュ・ショコラとは何ですか?
1995年にパリで始まった世界最大のチョコレート祭典です。世界中のショコラティエが集まり、試食、販売、デモンストレーション、ファッションショーなどが行われます。日本では2003年から開催されています。
Q3. フランスチョコはなぜ高いのですか?
主な理由は3つあります。ショコラティエの手作業による製造、高品質なカカオ豆の使用、そして輸入コストです。また、MOFなどの資格を持つ職人の作品は、その希少性から価格も高くなります。
Q4. パリでチョコレートを買うならどこがおすすめ?
サン・ジェルマン・デ・プレ地区やマレ地区には多くのショコラトリーが集まっています。特にラ・メゾン・デュ・ショコラ、パトリック・ロジェ、ジャック・ジュナンは観光客にも人気です。
まとめ
この記事では、フランスチョコレートの特徴と魅力を解説しました。
覚えておきたい3つのポイント:
- フランスチョコの最大の特徴は「薄いシェル」と「MOF(国家最優秀職人章)」
- ベルギーが「プラリネの工業的品質」なら、フランスは「ショコラティエの芸術的個性」
- 日本で買えるフランスショコラティエも多数。初心者はラ・メゾン・デュ・ショコラから
フランスチョコレートは、一粒一粒がショコラティエの「作品」です。
次にチョコレートを選ぶ機会があれば、ぜひフランスのショコラティエを試してみてください。薄いシェルを噛んだ瞬間に広がるガナッシュの香り、その繊細さがあなたを虜にするはずです。
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